ぼくを憐れむうた

ぼくを憐れむうた

日々の雑記や音楽のお話

ここは ぐちの はかば


6日目

今日は6月9日。3月9日から3ヶ月経った今日は桜も舞いきってしまって小雨が舞っている。

日本人は語呂合わせが大好きだ。だから、今日はROCKの日らしい。

 

何年か前にくるりがMステに出ていた。東京を演っていた。

先輩からLINEが飛んできた。

「あの頃の岸田はもういねぇ…」

あの頃の岸田を知らないぼくは

「そうですねェ!」

と知ったかしておいた。

ついでに

くるりはもうラップしてるからROCKじゃないですよ」

と送っておいた。ぼくはくるり上海蟹となんちゃらかんちゃらみたいな曲が心底嫌いだったのだ。

すると程なくしてLINEが返ってくる。

「ROCKの定義は人それぞれだから…」

なにを諭すモードに入っとんねん。

 

ROCKとはなんぞや。

 

ラップもレゲエもエレクトロニカもアイドルもROCKだと言い張ればROCKなのか。

よくわからん。音楽のジャンルってのは結構曖昧だ。

 

後輩と話していると時折音楽のジャンルの話になった。

「これってジャンル的にはなんなんですかね?」

フュージョンやファンクなんていう馴染みのない音楽に出会うと後輩はしばしば混乱した表情で尋ねてきた。

ぼくは答える。

「これはね、オルタナティブロックだよ」

フュージョンぽいロックだよね、ファンク入ったロックだよね、そんなlikeな分類が面倒だったので、後輩には悪いが全てオルタナティブなものとして処理していた。そのうち後輩も音楽の分類をオルタナティブに統一し始めた。

「やっぱりジャックブルースはオルタナティブですねえ!」

いや、後輩、それは違うよ。ブルースロックだよ。

 

やれやれ、ROCKというのはやっぱりよくわからん。

 

先日英語の授業に数分遅刻した。

「Oh! You are late! Rock'n'Roller!HAHA!」

担当講師がハイテンションで話しかけてきた。

どうやらぼくはロックンローラーになってしまったらしい。

 

授業が終わった。

「See you」

挨拶をして教室を出ようとしたら担当講師がハイテンションで話しかけてきた。

「See you!Rock 'n' Roller!HAHA!」

どうやらぼくは完全にロックンローラーになってしまったらしい。

 

ROCKとはなんぞや。

 

でも、不思議とROCKが嫌いという人間に出会ったことがない。ROCKに興味がないという人はいても嫌いまでいっている人は少ないのではないだろうか。

ROCKは何故か多くの人に愛されている。

そこには理由があるのか。よくわからん。ROCKは謎だらけだ。

 

今日はROCKの日らしい。

小雨を凌いで喫煙所で1人煙草を吸う。

暇なのでイヤホンで音楽をかける。

別に今日に限った話じゃないが、イヤホンから流れてくるのはROCKばかりだ。

 

それに多くの人々が恋い焦がれて、多くの人々が夢を見て、多くの人々が追い続けてきた。

StonesとCreamとZeppelinじゃ追い求めた方向が違うかもしれないが、誰しもROCKという根幹の部分に少しでも近づきたかったことに変わりはない。

なんとも抽象的で形のない曖昧なものを追い続けた人々、追い続けている人々。彼らの悪足掻きが世界に溢れかえって、今日、ぼくはそれらに耳を傾けて少しだけROCKをわかった気になっているのだ。

 

今日はROCKの日らしい。

ぼくは連勤6日目だ。

なんとかやってるよ。ROCKを聞きながらなんとかやれてるよ。