ベイブレードに微塵の興味が無くてもベイブレードの動画を見ろ
バイトの遅番の日は22時近い帰宅となる。
街灯もそこそこの道を原付ですっ飛ばして家に帰ると、その頃にはもう色々限界なのである。
疲れ果てた身体と、未だに解消されない背中の痛みを抱えて部屋に転がりこむ。
「ただいま」
ぼくが疲れ果てた声で部屋に戻ったことを呟く。
部屋では部屋着の女の子がソファで漫画を読みながら寛いでいる。彼女の名前はミカ。同棲中のぼくのちょっとえっちな妹かと思ったけど、よく考えるとぼくは一人暮らしだし、よく考えるとぼくの部屋にはソファすら無かった。そう、それくらい限界なのだ。
限界なぼくは実在しない妹が実在しないソファで実在しない寛ぎをするのを横目に、パパッと晩飯を作ってYoutubeを閲覧しながらそれを食う。そんな毎日だ。
つまりYoutubeだけがぼくの心の拠り所なのである。
そんな中、最近よく見る動画がある。
ベイブレードの動画だ。
ベイブレードってのはコマを転がして相手のコマと戦わせるゲームだ。
くるくるくるくるり。
そんなくるくる回るコマを眺めていて何が楽しいんだ、と言われるかもしれない。
しかし面白いのだ。別に病んでいるわけじゃない。
面白いのはコマが回っている映像じゃない。回っているコマを改造しているのが面白いのだ!!!!!!
ベイブレードというコマはカスタマイズ性に優れている。
「レイヤー」…相手のコマと接触する部位。攻撃の要。
「ディスク」…自機の重量を決める部位。攻撃の要。
「ドライバー」…自機を回転させる一番下の部位。攻撃の要。
のパーツから成り立っており、それぞれ多様なパーツが存在しており、それらを組み合わせることでそれぞれのベイブレードに特徴を持たせることができる。
つまりベイブレードの醍醐味はここにあるわけだ。
刃牙の台詞でもあるが、男の子というのは一度は地上最強というものを夢見る。"最強"という言葉に魅力を感じる生き物なのだ。
それはベイブレーダーとて同じこと。
パーツを組み替えてパフォーマンスを向上させ、尚且つかっこいいデザインをも両立させたベイブレードを日々模索している。自分のベイブレードが相手をバーストさせることを日夜頭で描き続ける。それがベイブレーダーなのだ。
が、その中で異色な存在もいる。
世間で「魔改造師」と呼ばれる奴らの存在だ。
「魔改造」とは機能性を重視する上ではクソの役にも立たないような浪漫全振りな改造を施すことを指す訳だが、カスタマイズ性抜群のベイブレード界隈にも勿論こういった浪漫に取り憑かれた輩がいる…
今回はそんな魔改造界隈の第一人者「ためにならない」氏を紹介させていただきたい。
ぼくが最初に見た動画はこちら。
ベイブレーダーじゃない方も、ベイブレードの知識0の方も、騙されたと思ってみて欲しい。
とっっっっ
っっっっっっっ
っっっっても面白い。
まず第一に動画の構成。時間も3分程度と見やすい長さで、内容自体もテンポよく構成されており見ていて退屈しない。
また、内容はかなりエンターテイメントよりとなっており、知識がなくても楽しく見れること間違いなしだ。
上記の動画ではマジックテープをベイブレードのレイヤー部分に装着した動画となっているが、他の動画はまさしく改造と呼ぶのに相応しいものが揃っている。
こちらは魔改造と呼ぶのに相応しい動画となっている。
通常ベイブレードは上記したようにレイヤーでのぶつかり合いにて勝負が繰り広げられるわけだが、既存概念を崩して2つ目の武器を搭載したこのモデル。
…まぁ…フォルムはかっこいいわけだが、それにパフォーマンスが伴うとは限らない。うん…オチ、もとい性能は動画を見て自分の目で確かめてみて欲しい。
ファミ通みたいな紹介になってきたが気を取り直して。
ためにならない氏は対戦動画もあげている。
これは上の鎖鎌ベイブレードである”鎖鎌DSS”で友人?のベイブレーダーとベイブレードバトルをした動画である。
動画を見ていただければわかるが、勝敗に固執しすぎず、無邪気に笑い合ってベイブレードを遊ぶ様は、さながら放課後の少年のようである。大人になっても、こんな風に遊べる友人がいるのは非常に羨ましいことだ。
少し話が変わるが、彼の動画は失敗作が多いようだ。魔改造というものは得てしてそういうものである。しかし、彼は失敗を恐れずに果敢に挑戦していっている。
また、彼は発想がすごい。ベイブレードを宙に浮かそうとしたり、磁石で操作しようとしたり、割とネタ…じゃなくて浪漫を重視する傾向にはあるが、どれもこれも「よくそんなアイディアが浮かんだな」と思わされてしまうものが多い。
更に彼はアイディアだけではなく、ちゃんとそれらを形にしている。確かに結果的に失敗してしまうケースが多々あるが、それを面白くしてアウトプットできてしまうのだから、最早失敗ですらないように見える。
むすびにかえてこちらの動画。
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危ない危ない。
むすびにかえてこちらの動画。
こちらはベイブレードの脚となる部位、ドライバーを鉛筆やら消しゴムやらにしてみた、という動画だ。何を言っているかわからないだろう。後は動画を見てくれ。
この鉛筆やら消しゴムをベイブレードに組み込む、というのは、ためにならない氏が小学生の頃に施したはじめての魔改造だったらしい。動画内では「7歳から以降20年間、やっていることは変わりません」と述べられている。
ぼくは小さい頃、絵を書くことが好きだった。中学生の頃は小説を書くのに夢中だった。しかし絵もいつの間にか描かなくなって、小説もいつの間にか書かなくなってしまった。
何かを辞めるきっかけはいくつも存在する。他人に馬鹿にされた、だとか、周りに同じ趣味の人がいない、だとか、熱が冷めた、だとか。
けれど続ける理由は1つしか存在しない。そのことが本当に”好き”という1つの理由しか継続する動機には存在しない。彼の場合はベイブレードや他の玩具の改造がそれだったということだろう。
何かを何年も何十年も続けられる、というのは本当に羨ましい。今に至ってそんなものが何一つ存在しないぼくからすると、その姿はすごくかっこいい。例えそれが玩具の改造であろうと好きなことに熱中し続けられる姿は眩しく見える。
氏はまるで自分のことを揶揄するように「20年間変わらない」と述べたのかもしれないが、それはとてもかっこいいことだよ。それに本当に好きだからこそ失敗してもそれすら楽しめるんだろうなぁ。
もしこの記事を読んでくださった方がいて、もし自分が心底好きなことがあるのなら、心底好きで居続けて欲しい。それがどんな小さなことであっても、好きなことをしている人というのはすごく綺麗に見えるのです。だからそれがどんなことであっても、胸を張って好きで居続けてください。
了
…1つだけ謝罪したいことがあるのですが、まるでぼくがベイブレードのプレイヤーであるかのように書いたこの記事ですが、ぼくはベイブレードのアニメも漫画も見たことないし、ベイブレードを触ったことすらありません。許してくれ。騙すつもりはなかったんだ。ただ、君がぼくを見る目が変わ