窓際のブルース
地元に戻ることが決まり本格的に移住計画を立てている。
月曜から実家に戻っており昨日は新しい城を決めて、今日は事故った爺ちゃんのお見舞いと散髪をブチキメた。
明日は新しい職場…というかバイト先の面談だ。
偶然にも実家も2月いっぱいで引っ越すらしい。つまり、せっかく3月から地元に戻るというのにその頃には実家が無いのである。地元なのに。意味がわからん。なんでこのタイミングなんだよ。となると明確にはここは地元ではなくなるのか?じゃあここは何処なんだ?
それに伴って実家はありとあらゆる荷物が箱詰めされている。
とは言え、俺の荷物は進学時にほとんど持ち出しており実家には漫画くらいしか残っていないので箱詰めされていても特に不便はしていない…嘘だ。
実家に帰ってきたのにジョジョが全て梱包されており読めないことには非常に心苦しい思いをしている。
卒業と同時にありとあらゆるものとサヨナラしないといけないのは中々感慨深い。まさか使い古した実家の自室とも今生の別れになるとは。ここまで重なるもんかね。
今俺は"元"俺の自室にてこの記事を書いている。
俺がこの部屋を出てもう幾年経つ訳だが、随分前にエアコンがぶっ壊れたせいでとても寒い。吐きそうなくらい寒い。愛知の冬はやはり一段と寒い。おまけに今は雨まで降っている。
この部屋は他のどの部屋より俺が時間を過ごした部屋である。
小学生の頃から高校生の頃までずっとここに帰ってきており、世界で一番安心できる場所だった。
小学生時代、狂ったようにネトゲに精を出していたのもこの部屋。
中学時代、狂ったようにモンハンとメタルギアをやっていたのもこの部屋。
高校時代、死にたくて仕方の無い時期に何とか踏みとどまっていたのもこの部屋。
この部屋には随分と助けられたもんだ。そういえば高校卒業時もここでブログを書いていたな。懐かしい。ボロ泣きしながら書いてた気がする。
時代は流れているんだなァと実感する。実家だけに…実感…wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwなにわろてんねん。
とは言え、流石に離れてからの時間も経っているので"使い切った感"がある。
物にはそれぞれ役割があり、この部屋の役割は俺を下界から保護することだった。
しかしその役割はとうに果たしており、俺はこの部屋がなくても生きていけるようになってしまった。
つまり役割、役目を終えたのだ。
いやぁ、使い切ったなァ。よく鍵もついてないこの部屋でここまで下界をシャットアウトできたものだ。ありがとう、お疲れ様。
ふと煙草を吸おうと窓を開けた。
なんだか懐かしい匂いがした。部屋の匂いと煙草の匂いと外の匂いが混ざった匂い。
そう言えば、2017年、休学していた頃も、よく同じように部屋の窓を開けて、同じような匂いの中で煙草を吸っていた。
ああ、そうだ。あの展望がなかった2年、いや3年前も俺はここにいたんだ。
バイト先では虫けらみたいで、ブルースバーでもボコボコにされて、将来どうなるかも分からず疲れ果ててここに帰ってきてタバコを吸っていたんだ。
あれからもう3年経つのか。
今でも将来どうなるのかさっぱりわからない。
俺は暮らしていけるのだろうか。人並みの生活ぐらいできるようになるのだろうか。
わからない。不安で仕方がない。
それでも、当時よりは前に進めているんじゃないだろうか。
あの頃の投げやりな気持ちは解消できたのではないだろうか。
少しくらいは成長できているのではないだろうか。
きっと、十数年前、ここで暮らしていた頃の俺が今の俺を見たら顔が引き攣るだろう。なんじゃこりゃ、と。自殺してしまうかもしれない。パラドックスが起きてしまうかもしれない。雷電!タイムパラドックスだ!
でも、3年前の俺が今の俺を見たら多少は褒めてくれるんじゃないだろうか。よくあの絶望的な状況から復学を決意して、ここまでやってこれたと。
誰も褒めちゃくれないが、よく就活とバイトとを並行して更に3週間で卒論を完成させたと。
少しくらいは自分のことを好きになれるんじゃないだろうか。
確かに結果は復学時に夢見たものではなくなってしまった。
とは言え、俺は俺なりによくやったんだよ。ゴミな俺は俺なりにさ。
この部屋の窓際で煙草ふかしてた俺にだけは、どうか伝わって欲しい。
なんとか、やりくりしながら、どうにか、生き延びてるよ。
さて、明日は面談!今日は早めに………弟と'決闘"して寝るか。デュエル!!!!!!!!