ぼくを憐れむうた

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日々の雑記や音楽のお話

ここは ぐちの はかば


ペトロールズと後輩とぼく

くっそどうでもいいなんでもない日に焼き肉に行ってしまった。後悔しかない。航海士かないから酒を飲んで無かったことにしてる。

酔っ払ったのでこっ恥ずかしい記事を下書きから後悔にした。

 

lonelyingstones.hatenablog.com

 

はははwわろすwしょうもない記事だw

 

酔ってTiny Desk Concertの動画を見ていた。これはなんか狭苦しいオフィスでミュージシャンがライブをするというよくわからない企画なんだが、ここにGary Clark Jr.が出ていたので見ていた。

二曲目のWhen I'm Goneという曲を聞いてたら、ふと、ペトロールズのSide By Sideを思い出した。

トロールズというのは元・東京事変のギターである浮雲こと長岡亮介氏が組んでいるバンドのことだが、すっっっごい昔にちょっっとだけハマった時期があった。で、当時サークルで後輩に知ったかカマしてオススメしたことがある。

 

ぼく「知ってる?ペトロールズ」

後輩「知らないっす」

ぼく「あwマジ?w結構有名だと思ってたけどwマジかぁ~w」

後輩「え?そうなんすか?どんなバンドなんすか?」

ぼく「素人にはちょっと難しいかもしんないけどw(YouTubeを流す)こんな感じ?w」

後輩「うわ!かっこいいですね!絶対ウォークマンに入れます!」

ぼく「あ、わかっちゃった?w結構センスいいぢゃんw入れたほうがいいよw」

 

多分こんな感じだったと思う。ちなみにぼくは当時ペトロールズの”雨”しか知らなかった。しかも自分で発掘したような言い草だが、先輩が言っていたから聞いていただけだ。つまり、後輩の知らないバンドの名前を挙げて先輩風を吹かせたかっただけなのだ。ほんのちょっとした出来心だったのだ。

 

それから暫くして、後輩がペトロールズにドハマリし始めた。

後輩「ペトロールズめちゃかっこいいですよね!」

ぼく「ペ、ペトロールズ…?え?あれ?本当に聞いてるの?」

後輩「ペトロールズの雨、こんな感じっすよね!?(ギターを弾き始める)」

ぼく「あ…そ、そうだね…そんな感じ…かな?ニュアンスは…」

後輩「コードあってますか!?」

ぼく「………あ、あってる…ょ」

 

ちなみに雨のコードとか知らなかった。ニュアンスとかも全然わかんなかった。そもそも雨自体うろ覚えすぎた。そもそも本当に聞いてるとは思わなかった。完全に先輩風が仇になったのだ。

とは言え、可愛い後輩が聞いていたので、なんとなくぼくもペトロールズを聞き始めた。オススメした人間がオススメされた人間にオススメされるというなんとも奇妙な構図となったわけだ。

 

トロールズはスリーピースバンドだ。スリーピースというのは非常に難しい。何故なら人数が少ないということはバッキングしてる人数が少ないということ。バッキングの人数が少ないということは、それぞれにかかる負担の比重が重くなるのだ。

ところで後輩は非常にギターが上手かった。聞くところによると小学校から既にギターを弾いていたらしい。そんなギター生まれギター育ちが何故うちのサークルに入ったのかは完全に謎だが、とにかくギターが上手かった。

しかし、彼が完全に活かされているバンドが無かった。上手い故に、彼の良さを活かすような音楽をやれる人間が少なかったのだ。

そこで、彼にペトロールズをやったらどうかと持ちかけた。ぼくはギターだから参加できないけど、上手い奴集めてやったらいいじゃん、と再三彼に声をかけた。

勿体無いと思ったのだ。確かにペトロールズのコピーは難しいだろうし、完璧にできないかもしれない。でも彼がペトロールズのことを好きならば、挑戦できるだけの技術はある。そしてもしそれを決行すれば、彼の技術を活かすバンドになることは間違いないと思ったのだ。

 

が、ずっと断られ続けた。まぁぼくが直接的に参加するわけじゃないので断られたってのはおかしい表現ではあるが、とにかく断られ続けた。

 

そして暫くしてぼくは色々な事情で休学することとなる。が、ライブは見に行こうとちょくちょく大学付近に遊びに行っていた。

するとある日、その後輩が嬉しそうに話しかけてきた。

「ペトロールズのバンド、組みましたよ!」

おいおい、遅えよ…俺がサークルに参加してるうちに組めよ…と思ったが、素直に嬉しかった。ぼくがオススメしたバンドを自己のサークル活動に反映させてくれたことも嬉しかったが、なにより彼がギターのスキルを遺憾なく発揮する場所が生まれたことが嬉しかった。

良かったねぇ、なんて話して時折サークルのライブを見に行っていた。

バンドメンバーもペトロールズにハマっていた。

この曲のここが難しい、みたいな話をライブ終わりにぼくに話してくれたことが多々あったが、ぼくの100倍ペトロールズに詳しい彼らの言葉は何を言っているのかさっぱりわからなかった。ドイツ語で話してんのかと思ったのを覚えている。

 

そんなこんなで時が流れて2019年の卒業ライブ。彼らのペトロールズのコピバンは大いに会場を沸かして、解散をすることとなった。

その時に演奏されたのが”Side By Side"

言わずもがな彼らのコピーで初めて知ったわけだが、すごくいい曲で、尚且演奏もすごくよくて、しばらく耳に残って離れなかった。

 

ライブが終わってしばらくして、いよいよ後輩の引っ越しが近づいた日、酒を飲もうという話になった。

かなり話を端折っているので彼とぼくのつながりはペトロールズだけかのように見えるかもしれないが、彼とは中々深い仲だったのだ。後輩で数少ないジャムセッションができるプレイヤーであったことも大きくぼくらの関係性に影響しているが、何より彼はやたらぼくを先輩先輩と慕ってくれた。何もしてないのに、家鳴りさん家鳴りさんと事あるごとに話しかけてきてくれた。

上のペトロールズの話もそうだ。ぼくの意地汚い思惑で勧めた音楽を素直に聞いてくれたのも、謎のぼくへの信頼があったことが起因するのではないかと考えられる。

 

本当に、ぼくは彼に全く何もしていない。最近聞いてる曲をオススメしたり、彼が古い音楽であるブルースやカントリーなどに興味があったのもあってBeatlesやCream、Stonesの話などを一方的に押し付けていた事はあるが、ギターの技術は彼のほうが上だし、ぼくを敬うことなど何もなかったはずなのだ。それなのに、彼はぼくの横柄な態度に辟易することもなく最後まで先輩として見てくれていた。

ぼくは最後までかっこをつけていきたかったのだが、最後だからこそ心の内を全部話そうと思った。なんとなく、強がりの部分で繋がっていても仕方ないと思ったのだ。それになにより、こんなハリボテのようなぼくと仲良くしてくれたお礼も言いたかった。

 

そうして飲み会を開いて、酒をたらふく飲んで、全てを彼に告げた。

なのに彼は否定してきた。

思わず混乱してしまった。

先輩だから慕っていたわけじゃなく尊敬して慕っていた、と、自分で書いてると恥ずかしくなるようなことを言ってくれた。

何度も書くが、ギターの技術は彼のほうがあるのだ。確かに知識はぼくの方があるかもしれないが、技術は負けている。技術はものさしで測れないのでなんとも言えないが、彼はギターが上手いのだ。これは間違いない。

それでも、自分は家鳴りさんのギターに追いつきたかった、と、彼はぼくを褒めてくれるわけだ。

卒業ライブ直後に「ぼくのギターの8割は、家鳴りさんのおかげでした!」と叫んできた後輩もそうだったが、何故か彼らはぼくをやたらヨイショしてきやがる。何もできなかったのに。

 

でもね、いいでしょ。こいつめっちゃギター上手いんだぜ。そんな奴に褒められたんだぜ。羨ましいか?駄目だぞ、俺の後輩なんだからな!

いやぁ、本当に恵まれてたなぁ。いい後輩だった。どれだけお礼を言っても言葉じゃ伝えきれないくらい感謝してるんだ。ありがとね。

 

そう言えばこの話を記事にしてないなぁ、と、”When I'm Gone"を聞いて”Side By Side"を聞いて思い出したから記事にしました。

 

トロールズを聞くと未だに君を思い出す。雨のコード覚えたから、今度は一緒に弾こうね。だから、また会おうね。