ぼくを憐れむうた

ぼくを憐れむうた

日々の雑記や音楽のお話

ここは ぐちの はかば


ある日ネカマが恋をした。

ぼくはラブソングが嫌いだ。

人並みの恋愛経験がないせいで歌詞が人語に聞こえないからだ。

ラブストーリーも嫌いだ。

スクリーンの中の人々の幸せそうな顔を見ていると体調を崩してしまうからだ。

が、かなり昔に見つけて読んだラブストーリーは体調を崩さなかったし、なんだか定期的に読みたくなるものだった。

それが「ある恋の話」

らいぶろちゃんねる RO ある恋の話

 

あらすじ

簡単に言うと、これはラグナロクオンラインというMMOにて、ネカマが恋するお話だ。

昨今ネトゲでは実際の性別と違う性別のキャラでゲームをプレイする人々が非常に多い。しかし、当時は恐らくネトゲ黎明期であっただろうし、そういった文化はあまりなかったのかも知れない。だからこそのお話だろう。

主人公はラグナロクオンライン(RO)を女キャラでプレイする男性。ソロプレイを楽しんでいたある日、男性キャラに声をかけられる。

それを馴れ初めとしてそこからどんどん仲良くなっていくが、次第に相手は主人公に恋愛感情を抱いていく。

主人公は本当は男で相手も男。そしてお互い同性愛者でもない。ゲーム内のキャラクターの性別が違っていただけ。それだけだったはずなのに、主人公も相手のことを好きになっていっていた。その感情もあり、なおかつ相手を傷つけないためにも、主人公は己を殺すように性別を本格的に偽ることにした。

それから主人公と「彼」は距離を縮めていくが…

というのが大体のあらすじだ。

感想

ぼくはこれは名作だと思う。

体験談のように綴られているのでノンフィクションだと思って読んだが、正直フィクションでもかまわない。とにかく読み物として素晴らしいと思う。主人公の生々しい苦悩と葛藤も痛々しく思いながらも続きを読んでしまう。

人によってはきっと気持ち悪い文章だと思う。性別を偽ってゲーム上で恋愛して、挙句の果てにはエロチャまでしている。

キモオタ役満だ。オタクってより奇人だ。絵で抜いたりしない真人間はドン引きだろう。

けれどずっとネットに浸かっているぼくから見ると、こういうのも別に悪くないと思う。本人たちは一時の青春をこうやって過ごして、淡い記憶として残るのもいいんじゃないだろうか。

そして何より切ない。

主人公は男である以上、相手とゲーム中以上の関係にはなれなかったわけだ。実際に会うことも通話することすら出来なかった。そして相手が恋をしていたのはリアルの主人公じゃなくて、主人公の中身をしたゲーム内の女キャラだったんだろう。

そんな恋愛が上手くいくはずが無い。必ずどこかで破綻する。事実、主人公は自ら男であるとカミングアウトしてしまうことになる。その後交流は続くものの、徐々に男性は本物の女性と仲良くなり始めて関係は希薄になっていった。

この結末もきっと主人公はわかっていたんだろう。わかりながらも恋をし続けたんだと思う。何事も終わりは来るものだけれど、確実に忍び寄るお別れがあり、更にそれを受け入れて2人で遊ぶ様子はなんとも叙情的だ。

 

仮に異性だったら成り立たない。この主人公の中の葛藤も生まれなかっただろうから。普通の恋愛じゃないから、ネット特有の悩みだったり問題が発生してそこがやるせないし面白い。

昔、ネトゲの片隅で同性を好きになった1人のプレイヤーがいたことぼくは覚えておくよ。

 

ということで、ここら辺で〆たいと思う。

ところで、絵で抜くのって悪いことか?????写真よりよっぽどイけると思うんですけど???????おっと、お前gifは卑怯だぞ!!