ぼくを憐れむうた

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日々の雑記や音楽のお話

ここは ぐちの はかば


ぼくの見たMastodon.cloudの黎明期のすべて

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※記事が長くなりすぎたので分けました。

 

  • Mastodonに見るコンテンツの黎明期⑴

話変わりサービス開始直後の話。

ぼくは面白そうだと思って調べて登録してみた。しかし上にも書いたように鯖が色々あってそれぞれの鯖の特徴もよく分からない。しかもどこ行っても外人がいっぱいいる。

困惑したぼくはとりあえず各鯖に垢をそれぞれ作って(鯖の間で垢を同期することはできない。今は知らない)、それぞれの鯖をてきとーに見ていた。

そしたら1番日本人が多そうに見えたのがcloud鯖。通称雲鯖。面白そうなのでそこをメインに据えることにした。

 

  • Mastodonに見るコンテンツの黎明期⑵

しばらくは他愛もない会話がタイムラインを流れていた。どこどこの喫茶店が、とかドーナツが、とかそんな話だった気がする。

が、次第にまともな人々が席を外し始めてネットに齧り付いてるような奴らが集まり始めた。

面白いもので人が集まると内輪ネタを使い始める。しかし内輪ネタなんてない。前日か前々日にできたサービスなんだから。すると、彼らは独自の文化やスラングを作り始める。

「牙生える」…意味:草生える。笑える。

「雲民」…意味:cloud鯖の人々。

 「パオる」…意味:意味不明

そして自分たちを雲民であり「クラウド女学院」の女生徒だとし始めた。信仰する宗教の神はガネーシャ

更に内輪ネタを固め始めると今度は排他的な言動を取り始める。新しいSNSってだけあって、新規ユーザーは大体Twitterをやっているわけだが、彼らはもちろんcloud鯖の内輪ネタなんて知らないので、草とかwとか使うわけだ。

それはcloudでは御法度。郷に入れば郷に従え。そういった調子で共通の敵を作ることで身内の結束力を高めていたのかもしれない。そこで新しくできたスラングがある。

 「鳥貴族」または「鳥民」…意味:Twitterユーザー

 「鳥臭い」…意味:Fuck you

独自の文化を築きつつあった彼らは、ただひたすらタイムラインで「牙」「雲」「象」を絡めた新しいワードや新しい文化を大喜利のような形で更に開発していった。

 

  • Mastodonに見るコンテンツの黎明期⑶

ぼくがcloudに腰を据えたのが大体昼過ぎ。夜になる頃にはスラングがポンポン出来上がり、Twitterの民をどんどん他鯖へ追いやり、更には他の鯖へのイチャモンを付けていた。

すると、まず悲鳴をあげたのが外国人。

というのも、cloudはそもそも外国の鯖で日本人が作ったのものでない。スラングだのを勝手に作って我が物顔だったわけだが、そもそも自分たちのものですら無かったのだ。

外国人からすれば、訳の分からない言葉がTLを埋め尽くしている。迷惑極まりない。

そして次に他の鯖のユーザーが悲鳴をあげた。

連盟TLというタイムラインがあり、それは簡単に言えば他の鯖も見えるTLなのだが、そこがcloudの訳の分からない造語まみれのツイートで埋まっている。そしてそこでもcloud節で他鯖をいじるわけだ。

他鯖からすれば意味がわからない。罵られてる意味も、そもそもスラングの意味も。なんだ牙生えるって。鮫かよ、と。

その様子をそれぞれケラケラ笑っている雲民たち。一方で席を外していた真人間たちはその惨状を見ると呆れかえった。

真人間「半日見てなかったら、もう流れがわからない」

雲民「うるせえパオるぞ鳥貴族」

こんな感じだ。

そして真人間たちはcloudを離れ、socialやjpへと去っていく。またはTwitterへ帰っていく。外人たちとは何とか打ち解けたが、それでも人は減り人口の殆どはクラウド女学院の雲民が占拠してしまった。

 

  • Mastodonに見るコンテンツの黎明期⑷

ぼくらがキャッキャ内輪で騒いでる頃、pixivの開いたMastodonでも事件が起きていた。

pixivの開いたMastodon、通称pawooではR-18の画像が氾濫していたのだ。

先程も説明したようにMastodonはシステム上、連盟TLがあり、他の鯖のTLも見ることが出来る。正確には連盟を結んでいる鯖同士のTLがまとめて見ることの出来るTLのことを連盟TLと呼んでいる。

そして、social、jp、cloud、pawooは同じ連盟に入っており、四つのどれかで発言すれば他の鯖からも見ることが出来た。つまり、pawooでR-18の画像が氾濫すると、他の鯖の連盟TLにも画像が溢れかえることになるわけだ。

外人も多くいる鯖では問題になり、公式が開いたMastodonなのにも関わらずpawooは連盟から外されることになってしまった。

雲民はそれを知り、エロ画像を手に入れる手段がひとつ減ってしまい深い悲しみに包まれることになった。

 

  • Mastodonに見るコンテンツの黎明期⑸

ここまで文が長くなると思わなかった……

そうしてMastodon全盛期を走り抜けたcloudのユーザーたち。

10秒目を話せばもう話題が変わっているTL。なんなら20秒後には新しいスラングや文化が出来ている。10代の会話のスピードより明らかに早い。

しかし時間が経つごとに徐々にTLの流れが遅くなっていった。人々はどんどん席を離れ、眠りについたりご飯を食べたりして戻ってこない。

そうして人が減ると次第に内輪の色と馴れ合い色が濃くなってくる。

「cloud鯖の画像を作った。」

wikiを作った。」

こういう話になってくる訳だ。

つまり、先人たちが作った言葉や文化を使って遊び始めた。

このcloud鯖が面白かったのは、シュールな空気感と適度な内輪感、そして鯖の妙に言葉遊びの上手い奴や、やたらTwitterユーザーに牙を向く奴がいて、更に外国人や他の鯖といった要素も絡まりあって、かなりカオスな状況だったからだ。

だが、人が減れば初期の空気は薄れ、馴れ合い色が強くなってくる。

ぼくはそこで潮時だな、とMastodonを閉じた。

 

ここまで長々と書き記したが、これはほぼ1日の出来事だったように思える。そして、まるで予定調和かのように、コンテンツの一生と呼ばれる要素がが組み込まれている流れだ。

面白い人々が集まり、面白くない人々がそれを見て寄ってきて、面白い人々は去り、面白くない人々が残って面白い人々の真似をしてコンテンツは死んでいくらしい。

しかし、まるで美談のように記した部分もあったが、かなりマナー違反な楽しみ方ではあった。特に外国人が建てた鯖を占拠していたのは、かなり迷惑を掛けていたはずだ。

だが、変な話ではあるが、ああいった愚行も全てあの日じゃなきゃできなかったものだ。黎明期というのはそれが楽しいものだし、事実かなり楽しかったので、被害を被った方々もコンテンツの初期の仕方の無い要素の一つとして受け止めてくれ。

 

と言うことで、これがぼくの経験したMastodonの全て。ずいぶん長くなってしまったが、古代人が壁画を書くテンションでここに記しておこう。