ぼくを憐れむうた

ぼくを憐れむうた

日々の雑記や音楽のお話

ここは ぐちの はかば


東京/銀杏BOYZ

タイトル詐欺の昔話です。

 

サークルにいた頃、留年してたボーカルの先輩をバンドに誘った。

誰にも言わなかったけど、ぼくなりに気を使ったんだ。

彼はとてもいい人だったから放っておくとどこか行ってしまいそうで、それが嫌だったから無理矢理バンドを組んで引き留めようと思ったんだ。

 

先輩とは中々共通の音楽が無かったけど、唯一の共通点がゴイステだった。まあぼくはそこまで聞いてたわけじゃないけど。

 

それで学年末、先輩は卒業していってしまう最後の追いコン。

 

先輩「銀杏BOYZの東京がやりたいからやろう。」

 

その時、バンドは紆余曲折を経てドラムが脱退してしまっていた。それでも先輩はベースとリードとギタボで出よう、って言ってきた。

元はぼくから誘ったのに、いつの間にか先輩の方が楽しみにしてくれていたみたいだった。

ぼくは銀杏BOYZは全然聞いたことなかったけど、出るということになったのでとりあえず練習することにした。

 

銀杏BOYZの東京を聞いた感想

なげぇ!!!!!!!!!

 

ボレロかよ!って突っ込んでしまった。だって10分近くあるんだもん。

 

そして、うちのサークルは諸事情によりエレキギターが使えない。

 

つまりバンドを組んでもアコギでリードギターをやらないといけないというクソみたいな制約があるのだ。

しかも今回はドラムレス。最早バンドとしてもリードもできることが限られている。

任されたソロはペンタトニックのアドリブに頼ることにした。

 

東京の長さとどう弾いたらいいのか辟易しながら、何度か練習を経て当日。ぼくらの出番がやってきた。

 

「君と別れてぼくは石ころになって」

 

歌い出しからあれほど鬱陶しかった東京の歌詞が響いてくる。

峯田がどうやってこれを書いたか知らないけど、これはきっと恋人との歌なんだろう。

なのに、君とぼくは先輩とぼくのように聞こえてくる。

 

「あぁ、ふたりの夢は東京の空に消えてくゆく」

 

先輩には本当によくしてもらって、こんなどうしようもない人間なのに別れを惜しんでくれた。どうしようもない会話しかしてなかったのに、それは全部ぼくにとって夢のようだったかもしれなくて、それが全部もう消えてしまう。

先輩の叫ぶように歌う"東京"が不思議なくらい思い出をくすぐってくる。

ぼくは段々前が見えなくなってきた。泣くのを抑えきれない。

 

追いコンだとしても、泣いて演奏が止まるなんてダメだと思った。ましてやバンドで。

だから、もう手元も見えないけど、任された間奏でのソロを弾けるだけ弾こうと思った。

ペンタトニックのスケールなんかなぞれなかった。とにかく弦が切れるまでチョーキングして、スケールアウトしまくりながらソロを弾く。ぐちゃぐちゃな不協和音まみれのソロだ。

今までセッションを何度もしてきたけど、信仰するスケールの概念をあそこまでかなぐり捨てて、テンションに任せてアドリブ弾いたのはあの一度だけだ。

 

ぐちゃぐちゃなソロが終わって先輩がソロパートに入って終わるころには何も考えられなかった。

 

そうして先輩との追いコンは終わってしまった。もう先輩とは中々会えないけど、あの日の東京は一生忘れない。

 

ほろ酔いでなんとなく過去やった曲を聞いたら思い出したので、なんとなく書き記したくなりました。

 

駄文失礼!明日は休みだから死ぬほどゆっくりするぜ!!!!!!!!!