ぼくを憐れむうた

ぼくを憐れむうた

日々の雑記や音楽のお話

ここは ぐちの はかば


本当の話の話

奥歯がいてぇ!!!!

鎮痛剤を漁ったけど無くて無くて…それでも痛くて痛くて…明日は土曜日で土曜日で…俺は墓にも入れずfuck fuck言いながら死ぬ運命で運命で…

そんなやるせない気持ちのところ、久しぶりにこの曲を聞きたくなったので曲紹介をしたいと思います。


ノダフルタ 「本当の話」ソロ

 

ぼくはこの人のことを何も知らない。アドバルーンっていうバンドの人だっていうことしか知らない。なので、正直URLを貼ったところで終わりなんだけど、それじゃあ少し味気ないので駄文を綴ろうと思う。

 

なんでこの曲を知ったかっていうと、先輩が弾き語りをしていたからだ。元々いたサークルの性質上、弾き語りに触れる機会は人より多くて、この曲もそんな感じで知った。

全然仲良くない怖い先輩が一人で壇上で弾いていて、最初に聞いた時は「なんやこの曲…てかあいつ(先輩)怖…」って感じだった。

月日が流れて、ある日突然この曲のことを思い出した。そういえば曲名ってなんだっけ…そう思いながら調べているとどうやらこの曲で。

 

コード進行は一つだけ。その上でメロディラインというか語りというか、そんなことをしている曲なんだけど、とにかく歌詞がすごい。

帰り道でどうでもいいような歌を作った。

というところから始まり、言いたくないことを徐々に絞り出すように歌詞が綴られていく。

一番印象的なのは

あいつのことそんなに好きじゃなくてさ あいつのことは本当はばかにしててさ
それでもあいつのことだから僕を信じようとするんだ
あいつの言葉を最初から聞く耳ももたない僕の話を

というところだろう。

なんて人間臭い詞だろう。表面上仲良くしてるやつのことを心の底では馬鹿にしてて、でも相手は自分によくしてきて、それはとてもやるせない話で。これは誰しもの本当の話なんじゃないだろうか。

次のホームレスの件も中々強烈だ。

その時高円寺の浮浪者のことを思い出したんだ あいつのギターを奪って ちゃんと聞いたことないくせにブルースを今なら気取れるんじゃないかと本気で思った

金がなくて身動き取れない日に、以前見下していたホームレスからギターをぶん取りたいという歌詞なわけだが、これも中々切ない。彼はブルースを知らないんだ。まともに聞いたこともないくせに演れるわけがない。それでも、惨めな環境に曝されて本気で今なら演れるって思ったんだろう。この切羽詰まった感じがまたいい。ここは特に強く歌われている。

最後は

帰り道に歌を置いてきた

本当の話も置いてきた

こう締められている。

きっとどこかに置いてきた話の歌なんだろうなあって思う。 だからなのか、ぼくは時々聞きたくなる。このどうしようもなく人間臭い歌を。

 

ここで〆ると読書感想文になるので、もうちょっと駄文からの蛇足を続けてコード進行の話。

昨今のJpopではAメロ→Bメロ→サビの流れは王道を征く王道だろう。だがもちろんこれは法律で決められてるわけじゃないので、サビ→サビ→サビでも別に刑務所にブち込まれることはない。だけどこういう曲はあんまないな…サビ三連続は流石に捕まるのかも…

まあとにかく、そういったメロディの盛り上がり盛り下がりを作ると、どうしてもコード進行と呼ばれる裏の伴奏のパターンをチェンジせざるを得ない。が、最初にも書いたように、この曲ではそれがされていない。時折(楽曲全編ではないにせよ)こういったコード進行は同じでメロディラインだけを変化させる曲というのがある。ZAZEN BOYSの向井秀徳はこういった、一定のコード進行の上でのメロディラインの変化に興味があるらしいが…

何が言いたいかというと、これは結構難しいということだ。作るの自体は簡単だろう。だってコード進行は一つしか作らなくて良いんだもん。だけど、その上で異なるメロディラインや言い回しを乗っけて抑揚をつけられるか、というとそれはまた別の話だ。

やっぱり売れる曲っていうのは変化が明確に出てる曲が多いというのを見れば、こういった作り方はメジャーではないというのがよく分かる。

それでも個人的にはあまりコード進行が複雑なものより、ワンパターンとは言わないまでも、2パターン(Aメロとサビ)くらいのものの方が好きだ。別にコードを追うのが面倒だからじゃないぞ。シンプル・イズ・ベスト。これは日本語で2パターン以上の曲はデストロイって意味だ。和訳しきれてないじゃないか。

…というのもあって、上の本当の話という曲は好き。

そして音楽の好き好きは人それぞれだからこれも個人的な好みだけど、気持ちが先行してる音楽の方が響いてくるものが大きい気がする。

楽器のテクニックを磨くことは重要で、できるに越したことはないけど、ぼくが衝撃を受けた「東京」は円熟した今のくるりの演奏ではなく、荒削りの初期の演奏の方だったし、時々eastern youthnumber girlのような叫ぶような歌声とギターが聞きたくなるときもある。never young beachの「お別れの歌」は、普段叫ばないボーカルが無理に声をひねり出してるからかっこいいんだ。

随分話が逸れてしまったけれど、とにかくそういうことだ!!エモって一言で片付けりゃ簡単だけど、その一言で終われないかっこよさがそれぞれにはあって、だから音楽は好きだ。

じゃあぼくはお菓子食べて寝…あぁ…歯が痛いんだった…fuckfuckfuckfuckfuckfuck....


アドバルーン『ロングサマタイム』 Music Shower 2013

(これがノダフルタ氏が参加してるバンドです。)