友達がいるのさ/エレファントカシマシ
ぼくにはいないけどね。
これはエレファントカシマシのナンバーです。
この前
lonelyingstones.hatenablog.com
って話をしたけど、この曲もぼくの好きな曲の中の一つです。
友達がいるのさ
まず最初の歌詞
おい、東京中の電気を消して夜空を見上げてえな
うん、最高だよ宮本くん。
歌詞について思うところは、普通歌詞にするならここは
「東京中の電気を消して夜空を見上げたいな」
がせいぜいだ。
そこを宮本は「見上げてえな」と歌う。しかも「おい!」とか言っちゃう。どうでもいいと思うかもしれないけどぼくはこの言い回しが好きだ。
eastern youthは森田童子の「たとえばぼくが死んだら」という曲をカバーしたけど、その中で大サビは「たとえば俺が死んだら!」と歌ってる。言葉こそ違えどそういうことだ。雑な言葉遣いが好きだ。彼らはそう思って、そう言いたかったから着飾らずにそのままの歌詞を歌ったんだろう。
そして、「友達がいるのさ」というタイトルほどに「友達」は出てこない。それよりも「出かけよう」というメッセージ性の方が強い気がする。確かに、あいつらがいるのさ、と続くシーンはあるが、ライブバージョンでも特に強調されている歌詞は「出かけよう」だ。
歩いてもスキップでも電車でも車でもいいから出かけよう、と彼は言う。街は動き出したと彼は歌っている。
その他の部分では、動きたいけど動けない、そんなことを連想させる歌詞が連なっている。中々自由に出歩く事は許されないかもしれない。それぞれ生活があったり、何かを待ち望んだりしながらも、なんだかんだで1日は終わってしまう。でも、それでも出かけようと彼は歌ってるんだ。
曲の進行
また、曲調も最高だ。
ミディアムバラードのような始まりから徐々に盛り上がっていく。ギターのリフはどんどん音が高くなっていく。ボレロみたいだ。
その徐々に盛り上がっていく感じがわかっていると最初の控えめなブリッジミュートのAメロが更に響いてくるんだ。
そして途中に挟まるAからのAmというコード進行。これは他のぼくが好きな曲でも稀に出てくる進行だ。4度をマイナーにする作曲のテクニックなんだが、そんなことはどうでもいい。このコード進行が好きなんだ。
とりあえず聞いてくれ!
YouTubeには「鬱病と戦う勇気をくれた曲」としてどこかの誰かがこの曲をアップしていたりする。
その人がどういう意図でこの曲を解釈したのかは知る由もないが、ぼくも相当精神的に疲れている頃にひたすらこの曲をリピートしていたことがある。
「細かい事は置いておいて、ちょっと出かけてみよう。俺は先に行ってるよ。」
そんな感じにこの曲は無理な立ち直りをさせてくることは無いし、共感してくれるわけでもない。何も細かい事は言わずに、ただ出かけようって言ってくるだけだ。
そんな歌が丁度いいんだ。深く干渉はしてこないけど、そんな在り方がなにより助かったりする事があるんだ。
ぜひ疲れて何かが嫌になったやるせない夜に、この曲を聞いて欲しい。
ある日ネカマが恋をした。
ぼくはラブソングが嫌いだ。
人並みの恋愛経験がないせいで歌詞が人語に聞こえないからだ。
ラブストーリーも嫌いだ。
スクリーンの中の人々の幸せそうな顔を見ていると体調を崩してしまうからだ。
が、かなり昔に見つけて読んだラブストーリーは体調を崩さなかったし、なんだか定期的に読みたくなるものだった。
それが「ある恋の話」
あらすじ
簡単に言うと、これはラグナロクオンラインというMMOにて、ネカマが恋するお話だ。
昨今ネトゲでは実際の性別と違う性別のキャラでゲームをプレイする人々が非常に多い。しかし、当時は恐らくネトゲ黎明期であっただろうし、そういった文化はあまりなかったのかも知れない。だからこそのお話だろう。
主人公はラグナロクオンライン(RO)を女キャラでプレイする男性。ソロプレイを楽しんでいたある日、男性キャラに声をかけられる。
それを馴れ初めとしてそこからどんどん仲良くなっていくが、次第に相手は主人公に恋愛感情を抱いていく。
主人公は本当は男で相手も男。そしてお互い同性愛者でもない。ゲーム内のキャラクターの性別が違っていただけ。それだけだったはずなのに、主人公も相手のことを好きになっていっていた。その感情もあり、なおかつ相手を傷つけないためにも、主人公は己を殺すように性別を本格的に偽ることにした。
それから主人公と「彼」は距離を縮めていくが…
というのが大体のあらすじだ。
感想
ぼくはこれは名作だと思う。
体験談のように綴られているのでノンフィクションだと思って読んだが、正直フィクションでもかまわない。とにかく読み物として素晴らしいと思う。主人公の生々しい苦悩と葛藤も痛々しく思いながらも続きを読んでしまう。
人によってはきっと気持ち悪い文章だと思う。性別を偽ってゲーム上で恋愛して、挙句の果てにはエロチャまでしている。
キモオタ役満だ。オタクってより奇人だ。絵で抜いたりしない真人間はドン引きだろう。
けれどずっとネットに浸かっているぼくから見ると、こういうのも別に悪くないと思う。本人たちは一時の青春をこうやって過ごして、淡い記憶として残るのもいいんじゃないだろうか。
そして何より切ない。
主人公は男である以上、相手とゲーム中以上の関係にはなれなかったわけだ。実際に会うことも通話することすら出来なかった。そして相手が恋をしていたのはリアルの主人公じゃなくて、主人公の中身をしたゲーム内の女キャラだったんだろう。
そんな恋愛が上手くいくはずが無い。必ずどこかで破綻する。事実、主人公は自ら男であるとカミングアウトしてしまうことになる。その後交流は続くものの、徐々に男性は本物の女性と仲良くなり始めて関係は希薄になっていった。
この結末もきっと主人公はわかっていたんだろう。わかりながらも恋をし続けたんだと思う。何事も終わりは来るものだけれど、確実に忍び寄るお別れがあり、更にそれを受け入れて2人で遊ぶ様子はなんとも叙情的だ。
仮に異性だったら成り立たない。この主人公の中の葛藤も生まれなかっただろうから。普通の恋愛じゃないから、ネット特有の悩みだったり問題が発生してそこがやるせないし面白い。
昔、ネトゲの片隅で同性を好きになった1人のプレイヤーがいたことぼくは覚えておくよ。
ということで、ここら辺で〆たいと思う。
ところで、絵で抜くのって悪いことか?????写真よりよっぽどイけると思うんですけど???????おっと、お前gifは卑怯だぞ!!
だいすきなげーむ「チビファンタジー」
今の中高生はブラウザゲームと聞いて何を思い浮かべるんだろう?艦これかな?それともゲームはスマホで済ませちゃう?
おじさんがねえ!!!!子供の頃はねえ!!!!!!スマホなんてなかったよ!!!!!!
だが、恵まれた世代だったのか、もしくは呪われた世代だったのか、パソコンはあった。
そう、あれはぼくがまだティーンにもなっていない頃のお話……
ブラウザゲーム「チビファンタジー」
ぼくは内向的な人間で、それは子供の頃から変わりゃしない。
友達はいたけど多くはなかったし、1人で遊ぶ事は少なくなかった。レゴとか好きだった。城めっちゃあった。
そんなぼくの家にある日パソコンが来た。正直今になって思うけど、ぼくとパソコンを出会わせるべきでは無かったんだ。いつまでもネットに対して情弱であるべきだったと思う…まあ、それは置いといて。
子供であるぼくはパソコンの本来の使い道など知らないし興味もない。興味があったのはゲームだ。
最初はババ抜きやピンボールをやっていた気がする。ソリティアとかバックギャモンとかはやり方が分からなかったので一切開かなかった。
そんなある日見つけてしまったのだ。オンラインゲーム「チビファンタジー」ってやつを…さ…
あの当時、似たようなゲームがいくつかあった気がするがチビファンタジーもそれだ。名付けるならコミュニケーション型クリック系ブラウザゲームRPG…!!!なげえな…でもこんな感じだ。
簡単に説明すると、クリックして探索して敵を倒してレベルを上げる。それだけ。アクション性は0。ただクリックするだけ。クリックすると敵が出てきて、クリックすると自動で戦闘ログが流れて、クリックするとそれが終わる。ほらね、めっちゃクリックするでしょ。
ただ、大きな特徴は他にある。それはチャットと掲示板だ。
チャットは、メインチャット,初心者チャットなど5種類に加えてレベル制限チャットや、自分が許可した人だけ入れるホームチャットなど多彩。
掲示板も総合掲示板を始めとして売買メインの掲示板や、コミュニケーションを図るための出会い掲示板(いやらしいものじゃない)、便所の落書きみたいな俺が神掲示板というものまで設置されていた。
ゲームにちょっとした2chがくっついてるようなものだ。逆かもしれない。ちょっとした2chにゲームがくっついてるようなものかもしれない。それくらいコミュニケーションの場が用意されていた。
恐らくここまでコミュニケーションを推奨するゲームも珍しいと思う。ちなみに、協力プレイなどはほぼ無い(一応あるが全然メインコンテンツじゃない)という不思議な作りだ。まるでからくり屋敷だ。
今からしてみれば、本当に大したことないゲームシステムだしちゃっちいものだが、当時は結構な人気だったと思う。同時ログイン最大で1000人とかあったんじゃないかなぁ…
そんな多機能なブラウザゲームにぼくはどっぷり浸かった。
チビファンタジーのおもひで
思い出なんて言えばかなりある。かなりあるが小学生の頃なので色々曖昧だが…
とにかく、家にいながら誰かとコミュニケーションをとれるというのが画期的だった。最初はチャットで「こん^^」ってやるのすらぎこちなかったが、小学生5.6年にもなればゲームの中に友達を何人も作っていた。
しかし、当時のぼくは頑なに年齢を隠す癖があった。今となってはよく分からないが、でも周りの年齢層が中学生〜社会人までとかなり幅広かった為に年齢で遅れはとるまいとしていたのかも知れない。ちなみにぼくの友達は中学生くらいだったと思う…多分。水上置換法で盛り上がってたしそんなもんだろ。
ところで、当時小学生だったわけだが、ぼくはリアルの知人にもチビファンタジーを推し進めていた。結果、何人かそれぞれキャラを作ってやり始めていた。
そして恐ろしい話、それぞれ課金もしていた。特にMくんは結構課金していたと思う。ぼくも課金していたがその後やったゲームも含め一番課金したゲームがこれだ。
課金するとゲーム内通過も必然的に増える。キャラ育成やレアアイテムの取引も最初は2000Gでも大金だったものが、段々100,000G…200,000Gと派手になってきた。するといざこざも発生し始める…
ある日、M君が掲示板上でぼくを名指ししたスレを立てた。「家鳴りさんに詐欺を受けました」的なスレだったと思う。内容は覚えてない。いざこざの内容も覚えてない。
しかし画面を挟んでM君とかなり大きな喧嘩をしたのは覚えてる。しかも画面の向こう側の知らない人も巻き込んで。
それはリアルまで波及させて、ぼくはしばらくM君と一切口をきかなかった。今考えると怖い話だ。今の子には本当にそういったことをして欲しくないと切に願う…最終的に無事収束はした筈だからいい思い出ではあるけど…あとK君巻き込んで仲裁させてごめん。
M君関連で他にもある。
先ほど言ったようにぼくはゲーム内で年齢をずっと隠していた。しかし、ある日M君がカミングアウトしてしまったのだ。しかもあろうことか小学校名まで。
ほんとに恐ろしい話だ。もしこの時代だったら無事でいられたか分からないくらい危ない。
そうした結果、ぼくは落ち込みすぎてしばらくゲームから離れてしまった。それくらい年齢を公表されたのがショックだったのだ。けど本当に怯えるべきはそこより小学校公表のほうだぞ!
だけど楽しいことの方が多かった。
深夜に親が寝静まってから大人に混ざってチャットをしたのもいい思い出だ。
身体が弱くて検査しょっちゅう受けてた月愛さん元気かな?月愛さんと話してるといっつと割り込んでくるナイトNIGHTも元気か?俺はお前のことちょっと邪魔だと思ってたぞ!あと、俺が慕ってたワド氏も元気かなあ…お前全然時間通りにチャット来なかったよな…
掲示板では主に中学生グループと仲良くしていた。いつもしょーもないことで盛り上がってた。「(ぁ」と「(おぃ」とか使いまくってた。
一番仲良かったダイキは今どこに住んでんだろうな、お前本名でネトゲやんなよ。キルナークくんは+love+ちゃんと水上置換法とか化学式で盛り上がってたよね。ぼく小学生だったから意味わかんなかったわ!イルィ君はデート行ったこと茶化してごめんね。多分年長者の☆スター☆は汚星様とか言ってごめん。+love+ちゃんも虐めてごめん。山姥とか言ってからかってごめん。でも俺君のこと好きだったかもしれん。
今でも仲良くしてた人達の名前が簡単に思い出せる。でも1人もどこ住みだとか何歳だとか顔すら知らないってんだから面白い。
全盛期から時代は流れて、段々ブラウザゲームでポチポチしてるのが飽きてきて、しかも仲の良かった友人達が生活の都合とかでどんどん引退していって、いつしかぼくもログインすることがなくなっていった。
きっとあの時代まともな小学生は外で元気に遊んでたと思う。けれどぼくの小学校時代の青春はチビファンに詰まってる。暗い小学生時代だと馬鹿にされるかもしれないけど、ぼくには画面越しの青春がなんとも心地よかったのでした。
最後にそれっぽい曲貼っとこ。